3663 アートスパークHD 2020年3Q決算/業績予想修正/中期経営計画

2020年11月6日、3663アートスパークHDから3Q決算、業績予想修正、中期経営計画が同時に発表されました。

www.nikkei.com

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概要は次の通り。

  • 3Q決算はクリエイターサポート事業の好調にけん引され営業利益632百万円(前年同期比159.8%)
  • 買収したカンデラ社の業績不振によりのれんの一部を減損し今期予想を純損失761百万円に修正
  • 5年後、2025年12月期には2020年比で売上高2倍、営業利益8倍を目指す

3Q決算について

2Qに続き、イラストマンガ制作ソフト「Clip Studio Paint(通称クリスタ)」を世界展開するクリエイターサポート事業は好調。同事業のQonQは売上高は1.1%増・セグメント利益は-8.9%とやや減速したものの、1Q→2Qが大幅に増益したこともあるので好調は維持されているものと捉えました。

一方、UI/UX事業は、新型コロナとのれん償却の影響で3Qも赤字でしたがQonQでは増収・損失減で最悪期は脱したように思います。

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のれんの減損については、UI/UX事業に期待していた投資家にとってはネガティブ要素に映るかもしれませんが、後述する中期経営計画を見る限り今後はクリエイターサポート事業に重点を置いて増益を目指す姿勢が感じられること、キャッシュアウトしないことなどから、さほどネガティブには作用しないものと感じます。

中期経営計画について

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サプライズだったのが中期経営計画の内容。今後クリスタの世界展開により大きく成長することは予想はできていたしそれを期待して保有していたのですが、会社が方針・戦略・数字を公表したことは大きな意義があると感じました

2025年に、今期計画比の売上2倍、営業利益8倍を目指すというものです。セグメントの内訳はクリエイターサポート事業が売上の約80%、営業利益の77%を占めることからも事業の柱はクリスタであることは明らか。

また、クリスタは、4月9日に、iPad/iPhoneに続いて、Windows/MacOS用の月額利用プラン(サブスク)の提供を開始し安定した収益を獲得できるモデルを確立しつつあります。今後は、Android・Chromebook向けの提供による対象機器の充実と従来の売り切りモデルと並行販売によるニーズの拡充を図ることで利用者を拡大できる十分な伸びしろがあると思っています。

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複数のクリエイターにヒアリングをした結果、私が感じたクリスタの直近の課題は次の2点。

  • 認知度が低いこと
  • 独学が難しいこと

認知度が低く国内においてもAdobeはライセンス契約してるけどがクリスタは使えない企業が多い状況。また、AdobeほどHow toが普及しておらず「機能やタッチ感は素晴らしいけど独学でマスターするのは難しい」という声もあることから、無料配布期間を設ける施策や安価な月額利用プランの提供は普及に向けた有効な手段だと思います。

海外では認知さえされていない状況なので伸びしろはあります。短期の値動きは分かりませんが中長期では買いだと思うので引き続き保有します。